質屋とは?


「質屋700年の歴史」と言いまして古くは鎌倉時代にまでさかのぼります。
その時代は質物を土の倉に入れていたからでしょうか土倉とよばれました。江戸時代には両替商をいとなむ大きな店もありましたが、多くは味噌、米、酒も扱う、よろずやのような庶民的な店だったようです。近年に入ってからは昭和30年ごろ利用者が最も多く、全国で20.000軒ぐらいの店がありました。その後高度経済成長が始まるにつれサラキン等の影響をうけました。しかし業態の違いから利用者がそれぞれを使い別けるようになり、質屋のよさがみなおされて 現在にいたっております。

利用のされかたも昔は生活に直結していたようで、極端な話としては、朝に鍋釜を質に入れそのお金で働きに行き、夕方その稼ぎで受け出して飯を炊くといった時代もあったようです。近頃はそういった生活のためにではなく、殆どが遊びに行くための小遣いや買い物のロ-ンの支払いに利用されます。質草も昔は 殆ど衣類でしたが、万博の頃ぐらいから テレビ、冷蔵庫、ステレオといった大型の電気製品が多くなり、それからビデオ、カメラ、ワープロといった中型の物に変わり、今では殆ど指輪、ネックレス、 時計など小さくて高額な物ばかりです。最近の特徴としてはブランドバックが多くなりました。質屋はまさに時代を写す鏡です。

質屋というものは、品物を預けてその物の値うちの範囲でお金が借りられ、一定の期間は手数料に相当する利息と元金を払って預けた物を受け出すことができます。元金を用意できないときは利息を払って期間の延長もできますし、また品物を諦めれば流質して債務は 一切無くなります。つまり結果的に売却したことになるわけです。全てが品物の値打ちの範囲ですから借金に歯止めが掛かりますし、流したらその後一切請求されませんので、合理的なシステムだといえます。その点がサラキンとの大きな違いです。

流質しますと質屋はその品物を古物市場などで売却し、貸金にあてます。そこで安くしか売れなくて損をしてもお客様に請求できません。値付けが高いと損をしますし、安いとお客さんが遠のきます。そこで質屋にとって値踏みがだいじになります。つまり鑑定眼ですね。ですから私たちは若い時から古物市場などへ出入りして、相場をおぼえ、その職人的な能力を磨くわけです。こうした能力は質屋にしかありませんので、 今日の豊かで物の多い時代、お金を借りるのではなく物を売りに来られる方も多いです。古物市場とは電気屋、カメラ屋、時計屋、宝石屋、古着屋、呉服屋、道具屋、金地金屋、骨董屋、催事屋、それに仲買達が集まるプロのせり市です。質屋は流れた物の多くをここで売り、その相場がお客様との取り引きの基本になります。

お客様は中古品の生産者、それを質屋はその鑑定眼と持つている流通システムを駆使し、新たな消費者に提供します。社会システムの中で「物とお金の交差点」の役割を担うこと、それが質屋のコンセプトです。